2015年12月20日

欧州MBAランキング−フランス

前回のスペイン国内のビジネススクールランキングに引き続き、今回はフランス編です。こちらもEonomistのランキングを元にしています(カッコ内はグローバルランキング)。

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1位(5)HECパリ
HEC School of Management, Paris
2位(8)INSEAD
INSEAD
3位(34)EDHECビジネススクール
EDHEC Business School
4位(75)EMLYONビジネススクール
EMLYON Business School
5位(84)グルノーブル・エコール・デ・マネジメント
Grenoble Ecole de Management – Grenoble Graduate School of Business

1位はHECでした。これは英語風にヘックではなく、フランス語読みでアシュウセと読みます。HECはÉcole des hautes études commerciales de Parisの略語で、これは直訳すると高等商業学院という意味になるので、HEC経営大学院と言ってしまうとややミスリーディングです。HECはフランスの商業系グランゼコールのトップとみなされています(グランゼコールについては後述)。キャンパスはパリの外れにあります。HECのMBAコースは1月スタートと9月スタートの2種類あり、いずれも16ヶ月のコースです。Tuitionは58,500米ドルとアメリカのトップスクールに比べると安くなっています。1学年約200名、平均GMATスコア691点、平均年齢は30歳です。

2位はINSEADでした。INSEADはパリとシンガポールにキャンパスがあり、学生はセメスターごとにどこのキャンパスで学ぶかを自分で選択できます。パリと言ってもフォンテーヌ・ブローは郊外にあり、パリの都心までは距離があります。INSEADはアメリカ型ビジネススクールを真似て作られたMBAのための学校であり、フランスの他のビジネススクールと違い、グランゼコールを母体としていません。INSEADも1月コースと9月コースが有り、期間は10ヶ月です。しかし、学費は87476米ドルとHECよりも高くなっています。学生数は516名と(キャンパスが2つあるため)大規模です。平均GMATは702点と世界で最も高い水準です。学生の平均年齢は29歳となっていますが、実際はもっと若い印象です。

3位はEDHECビジネススクールでした。こちらは英語風に読むとエドヘックですが、フランス語風に読むとイデークないしエデークと発音します。こちらもHECと同じく商業系グランゼコールのトップスクールが運営するMBAプログラムです。キャンパスは地中海に面したニースにあります。コースは1月スタートと9月スタートの10ヶ月コースです。学費は54,481米ドルですが、EDHECの特長として、奨学金が受けやすいという点が挙げられます。GMATスコアに応じて、640点以上で30%オフ、650点以上で40%オフ、720点以上だと50%オフのディスカウントが自動的に受けられます。学生数約70名、平均GMAT644点、平均年齢31歳となっています。費用の安さ、期間の短さと合わせて30代私費受験生にはオススメの学校です。

4位は、やはり商業系グランゼコールのEMLYONビジネススクールでした。その名の通りリヨンにキャンパスがあります。コースは9月から12ヶ月です。学費は50495米ドルです。学生数は約30数名と非常に小規模です。平均GMATは604点、平均年齢は29歳です。アントレに定評があります。

5位はグルノーブル・エコール・デ・マネジメントでした。こちらも商業系グランゼコールです。キャンパスはパリから電車で3時間ほどのグルノーブルにあります。コースは9月から15ヶ月です。学費は41,592米ドルと、コースの長さに比べるとだいぶリーズナブルです。こちらも学生数30数名と非常に小規模です。GMATはだいたい620点程度、平均年齢は30歳です。

INSEADとHECはパリにあると言っても郊外ですので、都会的な生活を送るのは不便かもしれません(車があった方がよいです。)。家族連れの場合、むしろ都市部のビジネススクールの方が便利だと思います。2位のリヨン、5位のグルノーブルはさらに田舎です。3位のEDHECのキャンパスがあるニースは地中海に面したリゾート地ですので、生活面はおすすめです。観光地であるため英語もむしろパリより通じるところが多いかもしれません。

*グランゼコールについて
2位のINSEAD以外は、商業系グランゼコールが運営するビジネススクールです。フランスには大学のほかに、グランゼコールと呼ばれるエリート養成学校があり、大統領、首相をはじめとした国家の要職、大企業のCEOなどはみなグランゼコール出身です。日本ではグランゼコールが大学院と訳されることがありますが、大学とはそもそも別系統ですのでミスリーディングです。日本で言うと大学校の位置づけに近いかもしれません。グランゼコールへの進学が許されるのは同年代の若者のほんの数%のみとされています。グランゼコールはフランス全体で2百数十校あり、理系、行政系、商業系に分かれています。特に、理系のエコール・ポリテクニークと行政系のENA(国立行政学院)が有名です。グランゼコールのうち商業系で名門とされているグランゼコールとして上記のHEC、EDHEC、EMLyonのほか、ESCPやESSECといった学校があり、これらもMBAプログラムを運営しています。グランゼコールはフランス人にとっては非常に狭き門です。

日本人が海外でMBAを取ってもそのまま海外で就職する例は限られており、ほとんどの人は日本に帰って来ます。したがって、ビジネススクールのその国における評判は必ずしも重要でなく、日本でどれだけ知られているかが重要です。この点、スペインのときにも書いたとおり、日本人でフランスのMBA事情、グランゼコール事情に詳しい人は限られています。フランスのMBAといえば、INSEADくらいしか知られていないのではないでしょうか。グランゼコールのことは名前くらい聞いたことがあるかもしれませんが、知っていたとしてもせいぜいポリテクニークとENAくらいです。HECまで知っているのはMBA受験経験者くらいのものでしょう。ですので、INSEAD以外はどこも名門グランゼコールであることには変わりませんので、細かいランキングは気にせず、自分が行きたい・行けるスクールを選ぶべきだと思います。

スペインと比べると、フランスの方が学費が総じて安いのが魅力です。また、グランゼコールというフランス国内でエリート校とみなされている学校にに通えるという点も魅力です。(ただし、日本での知名度はまだまだです。)。ただ、フランス語とスペイン語では、スペイン語のほうが汎用性が高いかもしれません。

posted by しゃっきー at 00:12| Comment(1) | 欧州MBAランキング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
大学職員を対象とした会誌を発行している任意団体職員の矢島と申します。5月号はフランスの高等教育を特集しますが、フランスの教育のINSEADについて書いてくださる方を探していました。先生のこのブログ、たいへん参考になりました。よければ転載、もしくは書き下ろしていただけないでしょうか?もちろん些少ですが稿料もでます。ご検討いただければ幸いです。
Posted by 矢島美知子 at 2017年04月11日 17:40
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